研究内容 Research

感染微生物分野では、ヘリコバクターピロリや腸管病原性大腸菌、赤痢菌などの消化管粘膜病原細菌をモデルとして、細菌が感染症を引き起こすメカニズムと、細菌感染に対する我々のからだの応答機構の全貌解明を目指し研究を展開しています。

研究室では、ヘリコバクターピロリや、病原性大腸菌、赤痢菌など、胃や腸など消化管の粘膜から感染する細菌に着目し研究を行ってきました。ヘリコバクターピロリ(Hp)は胃の粘膜に生息し、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因になることが知られています。Hpは宿主に感染すると4型分泌装置という注射針のような装置で宿主内に直接病原因子を注入します。注入される病原因子がどのようにして宿主に感染症の症状を引き起こすのか、また、長期感染を成立させるためにどのような因子が関与するのか、Hpによる病態発症のメカニズム解明にむけて研究を進めています。また、細菌感染をうけて、宿主の胃粘膜では炎症反応や遺伝子発現の変化など多様な応答機構がみられます。研究室では細菌感染時の宿主側の応答にも着目し、宿主因子と病原体因子双方の観点から、感染症により起きる現象とその分子メカニズムの全貌理解を目指しています。これらの解析により得られた知見を新たな細菌感染症制御法の開発に結びつけるべく研究を進めています。

細胞増殖の指標としてPCNA(緑)で染色したスナネズミ胃組織。
非感染組織(左)では淡水ウナギレクチン (AAA, 赤)で染まる胃腺窩細胞が整列しているが、ピロリ菌感染組織(右)では、異常な細胞増殖により胃腺構造が乱れる。
(Kiga, Mimuro et al., Nature Communications, 2014)

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